ろ過装置、排ガス処理装置、脱臭装置、サイレンサー、ミスト分離装置のメーカーです。

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WHAT TO KNOW/お役立ち情報

騒音、サイレンサーとは

1. 音の性質

誰かの話し声、車の通り過ぎる音、玄関のチャイムなど、私たちは生活のなかで様々な音と触れ合っています。
この「音」とは、空気中の圧力変化の波です。何かのきっかけ(音源)によって発生した圧力の変化により空気が振動し、この振動が波として伝わってきたもの(音波)を耳で捉え、私たちは音として認識しています。

1)音の単位

音波によって起こる大気圧の圧力変化量を音圧といい、音圧の単位はパスカル(Pa)です。音の物理量の尺度としては音圧が用いられますが、ヒトは20μPaから20Paまでの100万倍もの範囲の音を聴くことが可能と言われており、音圧をそのまま用いると数値が取り扱いにくくなります。
そこで、最小可聴音の20μPaを基準とし、対数尺度であるデシベル(dB)で音圧を表した音圧レベル(SPL)が広く用いられています。

音圧レベル ( SPL )  = 20 log10 ( P / P0 ) ( dB )

P...デシベルで表したい音圧 P0...基準音圧( 20 μPa )

(1)身近な音の音圧レベルの目安

120 dB飛行機の離着陸直下聴力機能に障害
110 dB車のクラクション極めてうるさい
100 dBガード下
90 dBカラオケ店内うるさい
80 dB地下鉄車内・バス車内
70 dB騒々しい街頭
60 dB通常の会話・静かな街頭日常的な騒音
50 dB平均的な事務所内
40 dB静かな住宅地の昼静か
30 dB静かな住宅地の夜

(2)工業製品の音圧レベルの目安

160 dBボイラ安全弁聴力機能に障害
140 dBガスタービン
往復動式圧縮機
120 dBルーツブロワ
ディーゼルエンジン
100 dB遠心式ファン極めてうるさい
80 dBグラインダーうるさい

2)音の距離減衰

大気中の一点から発した音波は球面の波として四方八方に伝播していきます。
音のエネルギーは球面状に拡散されていくので、音源から離れれば離れるほどに小さくなっていき、音圧レベルが小さくなっていきます。これを音の距離減衰といいます。
音源を点として捉えられる場合については、下記の式で距離減衰量を計算することができます。

距離減衰量 ( SPL1 - SPL2 ) = 20 log10 ( R2 / R1 ) ( dB )

固液分離

ここで例えば、R1に対し、R2が2倍のときの距離減衰は

20 log10 ( 2 ) = 6 ( dB )

となり、計算上6 dB減衰します。
ただし、実際には音は距離による減衰のほかに、空気自体による音の吸収や、障害物などの影響も受けるため、注意が必要です。

3)音の和

音の単位として用いているデシベルは、対数尺度となるので単純な足し算ができません。音圧レベルがそれぞれL1 ( dB )、L2 ( dB )である2つの音が合成された音圧レベルLを求めたいときは、下記のような対数の計算になります。

L = 10 log10 ( 10 L1 / 10 + 10 L2 / 10

例えば、80 dBの音が2つ同時に発生したときの合成音の音圧レベルは、下記のように計算されます。

10 log10( 10 8 + 10 8) ≒ 83 ( dB )

このように、同じ音が2つ同時になった場合でも、音圧レベルの数値としては2倍とはならず、複雑な対数計算が必要となります。
ただし、2つの音の音圧レベルの差によって、下記のように簡易的に概算することもできます。

L1 (dB)、L2 (dB)の2つの音の合成音の概算( L1 ≧ L2
L1 - L2(dB)0 ~ 12 ~ 45 ~ 910~
合成音(dB)L1 + 3L1 + 2L1 + 1L1(L2の影響なし)

2. サイレンサーとは

工場・事業場では送風機の吸排気音、コンプレッサーの吸気音、エンジンの排気音、高圧蒸気・ガスの大気放出音などの気流音が問題となります。
一般的な騒音防止の方法として、騒音源に蓋をする(カバーをする)ことが挙げられますが、上記の気流音については流体の通り道を塞ぐ方法を取ることができません。
そのため、気流音の対策としては、流体を通しながら騒音を低減することができるサイレンサーが用いられます。

1)ベントサイレンサー

流体が高速で噴き出すところで発生する噴流音を吸音します。
入口に取り付けたディフューザー(ブラストサプレッサともいいます)により低周波音の発生を抑え、後段の吸音部により高周波音を吸音します。

【用途】

(1)ボイラ安全弁・起動弁

(2)タービン、コンプレッサーのバイパス弁

(3)ブローダウン、フラッシュタンク

(4)空気分離装置の放出弁

(5)パイプラインの減圧弁

固液分離

2)吸音式サイレンサー

多孔板の内側に高密度充填された吸音材によって音のエネルギーを吸収するサイレンサーです。
中高周波音の吸音率が高いので、高い音を中心とした騒音を発生する機器の対策に有効です。

【用途】

(1)遠心式コンプレッサーの吸気、吐出

(2)ファンの吸気、排気

(3)ガスタービンの吸気、排気

(4)減圧弁の上流、下流

(5)エンジンの吸気

固液分離

3)スナッバー

2室、あるいは3室に仕切られ、各仕切板を貫通する多孔チューブが設けられたサイレンサーです。吸音式サイレンサーでは不向きな、脈動や共鳴により生じた低中周波音を効果的に減衰します。

【用途】

(1)発電機用エンジンの排気

(2)ルーツブロワの吸気、排気

(3)真空ポンプの排気

(4)船舶用エンジンの排気

固液分離

3. 騒音防止の目標値

サイレンサーによる騒音防止の目的には「敷地境界上での騒音値を、その地域での騒音規制値以下にすること」と「職業性難聴(騒音性難聴)の防止」の2点が挙げられます。

1)騒音規制

環境大臣が国民の生活環境の保全を目的として、区域別、時間帯別に基準を設定しています。この基準の範囲内で、都道府県知事や市長・特別区長が、具体的な騒音の規制基準を設定しています。

【特定工場等において発生する騒音の規制に関する基準】

昼間

朝・夕

夜間

第1種区域:住居専用区域
第1種区域:住居専用区域
45dB以上 50dB以下 40dB以上 45dB以下 40dB以上 45dB以下
第2種区域:住居区域
第2種区域:住居区域
50dB以上 60dB以下 45dB以上 50dB以下 40dB以上 50dB以下
第3種区域:商業・準工業区域
第3種区域:商業・準工業区域
60dB以上 65dB以下 55dB以上 65dB以下 50dB以上 55dB以下
第4種区域:工業区域
第4種区域:工業区域
65dB以上 70dB以下 60dB以上 70dB以下 55dB以上 65dB以下

2)職業性難聴

騒音による影響の1つとして難聴が挙げられます。
耳の内耳にある蝸牛(かぎゅう)に、有毛細胞という聴覚に関わる細胞があります。これが音によるダメージを受けることで、抜け落ちたり、傷ついたりすることにより音を感じ取りにくくなり、難聴を引き起こします。

極めて大きな音の場合は短時間でも難聴が起こります。また、短時間では聴覚に影響のない範囲の音であっても、長時間さらされ続けることにより、慢性的な難聴が起こることがあります。

右表は、騒音レベルごとの許容暴露時間を表したものです。
85dBを越える職場で8時間以上作業をした場合、難聴になるおそれがあります。このため、サイレンサーの性能基準値としては「出口横1mで85dB以下」が一般的に用いられます。
ただし、安全弁の噴出し音など、暴露時間が短い騒音については、許容暴露時間を考慮すると85dBまで減音する必要がない場合もあります。騒音防止にあたっては、周辺の状況や音の距離減衰なども考慮して、最適な目標値を検討する必要があります。

騒音許容基準

騒音レベル

(dB)

許容暴露時間

(min)

85

88

91

94

97

〜480

〜240

〜120

〜 60

〜 30

4. 音の高低

1)音の周波数

音の周波数とは1秒間に発生する音波の回数を表すもので、周波数の単位はヘルツ(Hz)です。音の高低は周波数により決まり、周波数が大きいほど高い音、周波数が小さいほど低い音として私たちは感じます。

2)可聴域

人間の耳では、最大幅で最小20 Hz から最大20,000 Hzの周波数を捉えることができると言われています。どの範囲の周波数を捉えられるかは動物の種類によって異なります。

たとえば、犬は人間に近い範囲ですが、人間より広い範囲の周波数の音を聞くことができます。イルカは、150 Hz 以下の低い音は聞き取れない代わりに、150,000 Hz までの高い周波数の音を聞き取ることができます。 可聴域

また、発声する音の高さの範囲についても動物の種類によって変化します。たとえば、イルカは特徴的で、人の耳では捉えることのできない超音波の音まで聞くことができ、その音を使って意思疎通をすることができます。テレビなどでイルカの鳴き声を聞いたことがあると思いますが、あれはイルカの鳴き声の中の一部に過ぎません。

ちなみに、健康診断の聴力検査で聞く音の周波数は、1000 Hz と4000 Hz です。1000 Hz は日常会話の音域の代表とされる周波数で、人の耳で一番聞き取りやすい周波数です。